大丈夫!
糖尿病は怖くない!
Diabetes
大丈夫!
糖尿病は怖くない!
Diabetes
あなたは、このような不安や心配をお持ちではないでしょうか?
糖尿病に関する不安や悩みを抱えている多くの方がいらっしゃると思います。
私も、そのような方々とお会いし、少しでもその悩みを解消すべく日々診療を行っておりますが、まだまだ多くの方が不安や悩みを抱いていると思います。
糖尿病は複雑な病気であり、様々なことが要因で発症したり悪化したりします。
中には、合併症を併発して不自由な生活を送ったり、寿命を早めたりします。
しかし、「怖がらなくて大丈夫です!」
糖尿病は、正しく治療しなかった場合は問題になりますが、正しい知識を身に付けてきちんと治療すれば心配ないのです。
それでは、糖尿病の正しい知識を、糖尿病専門医の立場からわかりやすく解説いたします。
糖尿病の治療には、食事・運動・薬による治療がありますが、どの治療をするにも、ただやみくもにやってはうまくはいきません。
糖尿病の治療をする際に大切なことは、なぜあなたの血糖値は上がったのか?なぜ糖尿病になったのかを見極めることです。
なぜなら、そもそも病気というのは、元々正常に機能していたシステムのどこかに異常をきたすことから始まるのです。
当然、治療というのは、その異常箇所を見つけてこそ初めて可能になるのです。
異常箇所は人それぞれで、同じ病気でもそれが同じとは限りません。
例えば、糖尿病の方は、食べ過ぎて太っているイメージがありますが、やせていても糖尿病になる方はたくさんいます。
これらは、同じ糖尿病でも、血糖値が上がる原因が全く違うからなのです。
また、血糖値が上がった原因をきちんと確かめないと、糖尿病以外の病気が悪化してしまうこともあります。
例えば、血糖値を上げる原因として「脂肪肝(肝臓に脂肪がこびりつく状態)」があります。
仮に、脂肪肝を放置して、血糖値を下げる薬だけを飲んだ場合、血糖値は一時的に下がりますが、放置した脂肪肝は、「NASH(脂肪性肝炎)」という肝臓の炎症が起こり、やがて肝硬変となり肝臓がんを発症しやすくなります。糖尿病の方では、特にこの傾向は強いことが分かっています。
このように、血糖値が上がった原因を確かめずに血糖値だけに目を向けていては、他の重大な病気を見逃すことにもなるのです。さらに、強引に下げた血糖値もいずれまた戻ってしまうのです。
いずれにしろ、「なぜ血糖値が上がるのか?」「どうして糖尿病になるのか?」などの、糖尿病のしくみを理解することが糖尿病治療の第一歩なのです。
「なぜ血糖値が上がるのか?」を詳しく知りたい方は「糖尿病のしくみ」をご覧ください。
近年、世界的に糖尿病人口が増加している中で、日本も決して例外ではありません。
家系的に糖尿病になりやすい方はもちろん、そうでなくても、豊かな食生活の時代背景により糖尿病になる方は増えており、家系的に糖尿病でなくても安心できないのです。
糖尿病は、放置しておくと将来合併症に悩まされることになるので、早期発見・早期治療がカギとなります。
早期発見と言っても、糖尿病は無症状のことが多く、知らない間に血糖値が上がっていることがあります。そうならないように健康診断が大切になってきます。
しかし、一般的な健康診断では、一発勝負の血糖値のみの検査であり、それだけでは糖尿病の診断を下すことは難しいのです。
なぜなら、血糖値は、食事をはじめ色々な要因で変動してしまうので、健康な方でも一時的な血糖値の上昇がみられるのです。
その問題を解消するのがHbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)です。
HbA1cは、ある一定期間(約2か月)血糖値の平均点と言われており、これが高いと(6.5%以上)、持続的な高血糖を意味することになり糖尿病と診断されます。
ただし、このHbA1cには一つ欠点があります。それは「グルコーススパイク」を見逃すことです。
「グルコーススパイク」とは、糖尿病の特徴でもある食後の急激な血糖値の上昇のことです。(グルコース=糖、スパイク=急激な上昇)
HbA1cは、主に空腹時血糖値の平均と強く関連しているため、「グルコーススパイク」があったとしても空腹時血糖値が高くなければ上がらないのです。
特に糖尿病の初期や予備軍の時期にはその傾向が強いため見逃されてしまいます。
グルコーススパイクは、動脈硬化の原因になりうると言われており、心筋梗塞や脳梗塞のリスクと考えられています。
それでは糖尿病の初期や予備軍の時期の「グルコーススパイク」はどうやって見つけるの?
それが「糖負荷試験」です。
この検査は、糖分を摂取した後にどのように血糖値が変動するのかを見る検査で、これにより「グルコーススパイク」を検出できます。
また、糖負荷試験では、血糖値をコントロールする「インスリン」の量を同時に測定することにより、将来糖尿病になりやすいかといったこともわかります。
糖尿病の診断・検査・グルコーススパイク・糖負荷試験について詳しく知りたい方は「糖尿病診断・検査」をご覧ください。
それでは、糖尿病と診断された場合はどうしたらいいのでしょうか?
大事なことは、まず、あなたの血糖値はなぜ上がっているのかという異常箇所を見極めることです。
さらに、どういうタイプの糖尿病で、どれくらい進行しているのかなど、個々の糖尿病状況を把握したうえで治療を始めることです。
また、糖尿病は、長期的な視点に立って考えなければなりません。
例えば、糖尿病の治療薬を使う際、異常箇所を見極めずに使ってしまうと、どんどん薬の量が増えていくということにもなりかねません。
そうならないためには、きちんと検査し診断する必要があるのです。
糖尿病治療で一番大事なのは、食事療法ですが、ただ単純に食べなければいいというものではなく、何を食べて、何を食べないかを長期的な観点で見極めるのが重要です。
今流行りの「低炭水化物ダイエット」を見よう見まねでやっても、一時的に血糖値は下がるものの、いずれまた元に戻ります。
また、LDLコレステロールが上昇したり、筋肉分解が進んだり、ミネラルが欠乏するなど、やり方によっては血糖値以外のデメリットが生じることもあります。
いずれにしろ、あなたの体の何が問題で血糖値を上がっているのかをしっかり見極めたうえで治療する必要があるのです。そうやって治療を開始すれば大丈夫です!
血糖値の上がり方は十人十色です。そして、血糖値が上がる原因も十人十色です。
一人ひとりしっかり状況を見極めて治療をすることが、しっかり血糖コントロールできるだけではなく、少ない薬で長く良好な血糖コントロールが可能になるのです。
当院では、糖尿病専門クリニックとして、長期的な血糖コントロールやその他の体への影響を考え、計画的な治療を行っています。
糖尿病治療について詳しく知りたい方は「糖尿病治療・合併症」をご覧ください。
しかし、万が一糖尿病治療がうまくいかない場合、合併症が出てきてしまいます。
血糖値のコントロールだけに夢中になり、合併症のことをなおざりにしては大変なことになります。合併症をしっかり管理していくことも糖尿病治療の大事な柱なのです。
糖尿病合併症は、出る人もいれば出ない人もいます。また、合併症が出る人でも、それが一つだけだったり複数だったりします。
それは、その時の血糖コントロール状況のみならず、過去の血糖コントロール状況だったり、高血圧や脂質異常、喫煙や肥満度といった糖尿病以外の因子も大きく影響します。
糖尿病合併症が出るか出ないかを明確に推測するのは、難しいのが現状です。しかし、普段から、きちんと血糖値や血圧、脂質のコントロールを行い、合併症の早期発見・早期治療を行えば大丈夫なのです。
このように、糖尿病合併症予防は、糖尿病治療において忘れてはいけいない重大なものなのです。
糖尿病合併症について詳しく知りたい方は「糖尿病治療・合併症」をご覧ください。
糖尿病の治療が始まった後、それがうまくいっているかどうかは、病院に行って検査すればわかります。
しかし、うまくいっていない場合は、なぜなのか?どうして血糖値が高いのか?といった疑問がでてきます。
それでは、あなたの血糖値は普段どうなっているのでしょうか?
つまり、あなたが、何を食べたら血糖値が上がるのか、どれくらい歩いたら血糖値が下がるのかということです。
その答えは、個々で異なるために測定してみないとわかりません。
じゃあ、どうすればいいのかと言うと、「自己血糖測定」をするのです。
その名の通り、病院ではなく、自分で普段の血糖値を測定するのです。
自己血糖測定をすると、あなたの生活の中でどのように血糖値が変化するのかが一目でわかり、それにより、どうすれば血糖値が下がるのかもわかってくるのです。
つまり、自分で原因を突き止め、自分で解決するのです。
これが、最も効率のいい糖尿病治療です。
しかし、血糖値は食事や運動以外でも変動するので、専門医に相談しながら行う必要があります。
自己血糖測定は、保険適応の問題もありますので必ずやらなければいけないものではありませんが、グルコーススパイクの検出や、より完璧な血糖コントロールをめざすのであれば一つの選択肢となります。
自己血糖測定について詳しく知りたい方は「自己血糖測定」をご覧ください。
糖尿病はなりたくない病気です。
しかし、なったからといって恐れることはありません。
正しく治療をすれば心配ないのです。
高血圧や脂質異常(高コレステロール血症)も同じ生活習慣病ですが、糖尿病は様々なことが関与するため、専門的で幅広い知識のもと、長期的な視点で治療していくことが大切なのです。
元気で長生きできるかはあなた次第です。
きちんと治療し、不安や心配を解消しましょう!