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糖尿病診断・検査

Diabetes

糖尿病診断・検査|医療法人SOUNDSLEEP 仙台内科睡眠クリニック

糖尿病診断・検査

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糖尿病診断・検査

糖尿病診断・検査について

糖尿病の多くは無症状のため、糖尿病診断は血液検査で行います。

糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、「1回でも血糖値が高ければ糖尿病と診断されてしまうの?」「子供と大人で糖尿病に違いはあるの?」といった疑問が生まれてくると思います。

その点について、糖尿病の診断の流れ、治療に必要な検査等を中心に詳しくご説明いたします。

糖尿病はどうやって診断されるの?

糖尿病の診断には
2つの重要なポイントがあります。

2つの重要なポイント2つの重要なポイント

まず一つ目は、血糖値が高いことです。
ただし、1日のどの時点で血液検査を行ったかにより、血糖値には違いがでます。

例えば、起床時の空腹状態と食事をした後の血糖値は違います。また、食事後何時間なのかでも違いが出ます。
つまり、どこの時点で血液検査を行ったかによって、血糖値には違いがでるのです。
一時点の血糖値だけで判断していては、誤った判断をしてしまう場合があるのです。

そこで、もう一つの重要な判断材料になるのが、高血糖が持続していることです。
糖尿病は、高血糖が一時的ではなくずっと持続していることを確認しなければなりません。
一時的な高血糖は、体に大きな影響はありませんが、それが長く続くと問題なのです。

以上より、糖尿病は、
①高血糖が存在すること
②高血糖が持続していること

の2点が証明されることにより診断されます。

高血糖の持続を判断するものは?

高血糖の持続を判断するものは?

糖尿病の診断に、高血糖の「存在」と「持続」がポイントであることは理解できたと思いますが、それをどうやって判断するのでしょうか。

まず、高血糖の「存在」は、空腹時血糖値および食後血糖値を測定し、それぞれ126mg/dl以上、200mg/dl以上になった場合に高血糖の「存在」と判断します。

次に、その高血糖が「持続」しているかを判断する方法ですが、それを調べる検査が「HbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)」です。
簡単に言うと、これは血糖値の平均点です。

このHbA1cという物質の血中濃度が高いと、高血糖が持続していることを意味し、正常で5%くらいですが、6.5%以上になると明らかな高血糖の「持続」と判断されます。

以上より糖尿病は、血糖値(空腹時:126以上、食後200以上)とHbA1c(6.5%以上)により診断されます。

糖尿病の診断

見落とす!「グルコーススパイク!」

見落とす!「グルコーススパイク!」

それでは、血糖値とHbA1cが正常であれば安心か?
実はそうではありません。

血糖値が上がり始める初期段階では、まず、食後の血糖値が上がることから始まり、早朝空腹時の血糖値はさほど上がりません。
また、 HbA1cは血糖値の平均点ですが、主に空腹時血糖値に関連しているため、この時期には正常範囲内であることが多いのです。
つまり午前中に受けた空腹時の健康診断ではわからないこともあるのです。

この初期段階での食後高血糖のみの上昇のことを「グルコーススパイク」といいます(グルコース:血糖値、スパイク:急上昇)。

グルコーススパイク

この「グルコーススパイク」を放置しておくと、やがて空腹時血糖値が上がり、そしてHbA1cが上がってくるのです。
つまり、糖尿病と診断される前の、最初の異変は「グルコーススパイク」なのです。

糖尿病発症前の「グルコーススパイク」を放置しておくと、当然糖尿病に進行してしまいます。
さらに、グルコーススパイクは、動脈硬化も進行させてしまい、心筋梗塞の発症リスクになるとも言われています。
つまり、「グルコーススパイク」を見つけ出すことが糖尿病予防、合併症予防の観点から大変重要なことなのです。

それでは、どうやって「グルコーススパイク」を見つけるのか?
それを調べる検査が「糖負荷試験」です。

「グルコーススパイク」をみつける「糖負荷試験」

この検査は、砂糖水を飲んで、その後30分ごとに血糖値を測定することで「グルコーススパイク」を探しだします(検査時間は合計2時間です)。

「グルコーススパイク」があれば、「境界型」や「糖尿病型」と判定されます。
さらに、この検査は、「グルコーススパイク」だけではなく、同時にインスリン量を測定することにより、将来糖尿病になりそうかを推測することもできるのです。

糖負荷試験

糖負荷試験の保険適応(1~3割負担)は血糖値やHbA1c値が軽度異常の方(糖尿病疑い)が対象になります。
料金は診察料含めて約4,000円です(3割負担)。

健康な方(保険適応対象外)でも、将来糖尿病にないやすいか、「グルコーススパイク」が起きてないか等の確認したい場合は、自費(診察料込みで5000円+税)でも行っています。

ポイント!

  • 血糖値が上がり始める初期変化は空腹時血糖ではなく食後血糖(グルコーススパイク)
  • グルコーススパイクを調べる検査は「糖負荷試験」
  • 「糖負荷試験」で将来糖尿病になりそうかわかる

糖尿病の4つのタイプ

糖尿病と診断された後、次にやらなければいけないことは、糖尿病のタイプ分けです。

糖尿病は、タイプによって治療法が違うので、しっかり区別しなければなりません。
糖尿病には大きく分けて4つのタイプがあります。

【糖尿病4つのタイプ】

糖尿病4つのタイプ

ポイント!

  • 2型糖尿病に似ている「緩徐進行型1型糖尿病」を見逃さない!

2型糖尿病

2型糖尿病

一つ目は「2型糖尿病」で糖尿病患者の約95%がこれにあたります。中年になって太っている方が典型的ですが、最近では、若い人でも2型糖尿病になりやすく、また日本人は欧米人に比べてそんなに太っていなくても2型糖尿病になります。

1型糖尿病

1型糖尿病

二つ目は「1型糖尿病」です。これは、小児がなりやすいタイプの糖尿病で、急速に病状が進行します。一般的に血糖コントロールが難しく治療にはインスリン注射を必要とします。

さらに、最近では「劇症1型糖尿病」というタイプの糖尿病があることもわかってきました。
これは小児だけではなく、肥満のない大人にも発症する可能性があり、その名の通り、急激に発症し重症化するため緊急治療が必要になります。

そしてもう一つ重要なのが「緩徐進行型1型糖尿病」です。
1型糖尿病は、一般的に、病状が急速に進行するのですが、緩徐進行型1型糖は、ゆっくり進行し、やがてすい臓のインスリン生産機能が麻痺してしまうものなです。
2型糖尿病と初期の経過が似ているため見落としやすいのですが、計画的に治療しないとすい臓に負担がかかってしまいます。

1型糖尿病は専門的な治療が必要になりますので専門医による診察が必須です。

妊娠糖尿病

三つ目は「妊娠糖尿病」です。胎盤の影響により、「糖」の運搬システムに軽度の異常をきたすタイプのもので、母体や赤ちゃんに合併症を来すリスクがあります。

その他の糖尿病

四つ目は「その他の糖尿病」で体の中の他の異常(肝臓病や膵臓病、ホルモンの病気等)からくる二次的な糖尿病です。

以上より、糖尿病の診断では、高血糖と同時に、これら糖尿病タイプを見極めることも重要なので並行して行わなければいけません。

どうやって糖尿病のタイプを見極めるの?

ポイント!

  • 1型糖尿病と2型糖尿病の区別が重要
  • 「抗GAD抗体」が判断材料の一つ

どうやって糖尿病のタイプを見極めるの

4つのタイプの中で、特に「1型糖尿病」か「2型糖尿病」かの見極めが重要です。
見極め方の一つとして、「発症の仕方」があります。

これら二つの発症形式は通常大きく違い、1型は急性発症で口渇、多飲、多尿等の症状を伴いやすく、2型糖尿病は緩徐にゆっくり発症するため症状を伴いにくいのが特徴です。
しかし、1型の中には「緩徐進行型1型糖尿病」という2型糖尿病に似た発症形式を示すものがあり、詳しい血液検査が必要になります。

それを見極める代表的な検査項目として「抗GAD抗体」という物質があります。
これが検出されれば1型糖尿病の可能性が高くなります。1型糖尿病と診断された場合はインスリン注射を検討する必要があります。

2型糖尿病は、遺伝的傾向が強いため、家系に糖尿病の方がいたり、生活習慣の不良や肥満、インスリン検査の結果等から総合的に判断します。

「妊娠糖尿病」や「その他の糖尿病」は特殊な糖尿病であるため、糖尿病専門医の判断が必要になります。

糖尿病治療に必要な検査

糖尿病の診断やタイプの判断に必要な検査や手順について説明してきましたが、最後に、治療に必要な検査について大事なものが一つあります。
それが、インスリン検査です。

重要!インスリン検査

血糖値をコントロールするキーマンは、膵臓から出る「インスリン」というホルモンであるというお話を【糖尿病のしくみ】のところでしましたが、インスリンに問題があると、「糖」の運搬システムが障害されてしまいます。

「糖」の搬送システムについて知りたい方はこちら

そのため、インスリンがきちんと働いているかどうかを調べる検査が治療薬を選択するうえで重要になってきます。

【インスリンの2つのはたらき】

インスリンの2つのはたらき

インスリンがきちんと働いているかどうかのポイントは2つです。

ポイント!

  • すい臓から出るインスリン量「インスリン分泌力検査」
  • インスリンの労働力をみる「インスリン抵抗性検査」

一つは、インスリンが膵臓からきちんと出ているかです。
これを「インスリン分泌力」といいます。
インスリン分泌がきちんとされていないと、腸から吸収された「糖」を処理する人手が足りず、「糖」は血液の中で渋滞してしまい血糖値が上がってしまいます。

インスリン分泌力を知る検査は、「Cペプチド」という物質を血液検査で測定します。
また、インスリン値から算出する「HOMA-β(ホーマベーター)」という指標もあります。

二つ目は「インスリン抵抗性」です。
これは、インスリンがきちんと労働しているかどうかの指標です。
インスリンの人手が足りていても、労働力が低下していれば「糖」の運搬はスムーズに行われません。

インスリン抵抗性の検査は、インスリン値から算出する「HOMA-R(ホーマアール)」でわかります。

この二つのインスリンの働きは、血糖値上昇の原因追及や治療法に大きく影響しますので調べる必要があります。

まとめ

  • 糖尿病の診断は、高血糖の持続がポイントで、血糖値とHbA1cで判断する。
  • 「グルコーススパイク」を見逃さないために「糖負荷試験」が有用。
  • 治療方針の決定に重要な糖尿病タイプの判別は、「抗GAD抗体」検査が有用。
  • 「インスリン分泌量」と「インスリン抵抗性」はインスリンの不具合を見る検査であり、治療方針を決定する際に重要である。
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