HbA1cの弱点
病院では月1回血糖値を測定していますが、それだけでは血糖値の変動を知ることができないので、HbA1cという血糖値の平均点を測定します。
しかし、このHbA1cは、あくまでも、血糖値の全体像を見ているのであり、実際の血糖値の動きをみているものではないのです。
例えば、血糖値の平均であるHbA1cが同じだとしても、一方は、血糖変動がおだやかで、もう一方は激しい場合があります。
つまり、HbA1cはあくまでも平均点であり、血糖値の動きは関係ないのです。
自己血糖測定
Diabetes
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糖尿病になると、病院で月1回血液検査をしますが、おおよその血糖コントロール状況はわかっても、普段のあなたの血糖値がどのように動いているかまではわかりません。
普段の血糖値の動きがわかれば、いつ、どんな時に血糖値が上がるのかがわかり、糖尿病治療がうまくいきます。
それでは、どうやって普段の血糖値がわかるのでしょうか?
それを可能にするのが「自己血糖測定」です。
健康の方でも血糖値は様々な要因で変わりますが、糖尿病の場合はより敏感に動きます。
例えば、健康な方であれば、何を食べても血糖値は70-140mg/dlの間でしか動きません。
しかし、糖尿病の方は、200-300mg/dl以上まで上昇したり、薬を使うことにより、逆に40-50mg/dlまで下がったりします。
つまり、糖尿病の方の血糖値は、生き物のように動くのです。
病院では月1回血糖値を測定していますが、それだけでは血糖値の変動を知ることができないので、HbA1cという血糖値の平均点を測定します。
しかし、このHbA1cは、あくまでも、血糖値の全体像を見ているのであり、実際の血糖値の動きをみているものではないのです。
例えば、血糖値の平均であるHbA1cが同じだとしても、一方は、血糖変動がおだやかで、もう一方は激しい場合があります。
つまり、HbA1cはあくまでも平均点であり、血糖値の動きは関係ないのです。
HbA1cは、糖尿病治療の重要な指標であることは間違いありません。
実際、HbA1cの数値が高ければ高いほど、様々な合併症になる確率が上がることが分かっています。
しかし、すべての合併症が、 HbA1cだけ見ていれば防げるかというとそうではありません。
特に、生命に直接かかわる可能性がある心筋梗塞や脳梗塞の大血管障害では、HbA1cの数値がいいだけでは防げないことがわかっています。
それでは、HbA1c以外に、血管に悪さするのは何なのか?
犯人は「グルコーススパイク」です。
グルコース=糖、スパイク=急上昇という意味で、いわゆる食後に上がる急激な高血糖状態のことです。
このグルコーススパイクが日々血管を痛みつけているのです。
それでは、グルコーススパイクを見つけるにはどうしたらいいのでしょうか?
それが「自己血糖測定」です。
グルコーススパイクは、病院の一発勝負の血液検査でみつかることも時々ありますが、基本的にはわかりません。
日々の生活の中で行われている食事の中で生まれるのです。
そのために、食前食後の血糖値を自分で測定し、グルコーススパイクをみつけるのです。
グルコーススパイクを見つけたら治療しなければいけません。
例えば 、カレーライスを食べる時に、食前食後で自己血糖測定をすることにより、どれくらい血糖値が上がるのかがわかります。
もし急激に上昇するなら、何が原因で血糖値が上がったのか、「次回からはごはんの量を少し減らしてみよう」とか、「糖質の多い野菜であるじゃがいもや人参の量も注意しよう!」等細かいところにまで気が付くようになります。
そうすることにより、食事療法がうまくいくようになり、薬を使わなくても血糖値が上がらなくなるのです。
また、運動をすると血糖値が上がりにくくなるため、食後に運動する時としない時で血糖値がどれだけ違うのかを見ることも運動のモチベーションにつながります。
このように、普段の血糖値を探ることが糖尿病治療において大変重要なことなのです。
当院で使用している自己血糖測定器の一番の特徴は針の細さです。
自己血糖測定と言えば、指に針を刺すのが痛くて嫌だという感想が多かったのですが、これまでの自己血糖測定の中で一番細い針を使用しており、ほとんど痛みを感じないレベルまで改善しました。
今までに自己血糖測定器の問題点は一回一回の血糖値しか確認できないため、血糖値がどのように変動しているのかが分かりにくかったことです(きちんと自分で記録すればいいのですが正直面倒くさいのが問題でした)。
それを解消したのが自己血糖測定アプリの「リビール(Reveal)」です。
このアプリは、当院で扱っている自己血糖測定器と連動しており、測定した血糖値がダイレクトにアプリの血糖一覧表(下記)に飛びます。
それにより、血糖値の一連の流れが分かりどのように変化しているかも一目瞭然です。
またクリニックが発行する病院コードをアプリに入力すると、医師のパソコンからもあなたのアプリの血糖値を見て解析することもできるため、血糖値改善のためのより的確な治療ができるのです(医師に見られたくない人は、病院コードを入力しなければ見られません)。
自己血糖測定の活用においてもう一つ重要なことは、後で振り返った時に、なんで血糖値が上がったのかが分かるようにすることです。
自己血糖測定アプリの「リビール(Reveal)」と食事記録用アプリ「ごはんカメラ」を併用すれば、何を食べたときに血糖値がどれくらい上がったのかが分かるようになり、完璧な食事療法をすることができます。
ごはん カメラは、文字通りあなたの食事をスマホカメラで撮影するだけで自動的にカレンダーに記録されるアプリです。
今までの糖尿病診療では、自己血糖測定をして血糖値が上がっていることが分かっていても、「この時何を食べたのですか?」と聞いたところですべてを記憶している人はほとんどいませんでした 。
「リビール(Reveal)」+「ごはんカメラ」を診察時に用いることにより、あなたの食事と血糖値の関係を知る大きな手掛かりとなります。
さらに、運動に関するアプリ(歩数計等)を併用し、血糖値+食事+運動をアプリですべて記録すれば、より血糖値の動きが分かり、良好な血糖コントロールができるようになります。
生き物であるあなたの血糖値が手に取るようにわかるようになるのです。
病院に行って「今月のHbA1cは何で上がったのだろうか?」なんて悩まなくなるでしょう。
自己血糖測定するにあたり、もっと簡単に測定できないものか?
それができるんです。
「フリースタイルリブレ」です。
二の腕の裏に血糖値測定用のセンサーを付けて、そのセンサーに測定器を近づけると測定できるというものです。
つまり一度センサーを付ければ、針を刺さずに何度でも血糖値を測定できるのです。
ただし、センサー1個の装着は14日間限定で、センサー装着時には一度針を刺さなければいけません。
また、保険適応はインスリン注射を1日2回以上やっている方なので、それ以外の方は自費になります。
自費の方は、読み取り装置(Reader)1台とセンサーキット(1個で14日間連続測定)2個で14,000円(税抜き)です。